タスク管理には「コンテキスト」という概念があります。
一見聞き慣れない言葉ですが、とても重要な用語の一つです。
この記事では「コンテキスト」の意味や活用方法について解説していきます。
そういう状況、皆さんも経験があるのではないでしょうか?
- 仕事場から帰った後に、仕事場でしかできないことを思い付く
- 布団の中で、パソコンでしかできないことを思い付く
- 仕事の最中に、ホームセンターで買いたい物を思い付く
- 友人と会っている時に、家族に伝えたいことを思い付く
私たちの脳は常にフル回転しています。
そして常に情報を浴びています。
こういったことは、日常茶飯事に起こるのです。
物事には「それをするのに適するタイミング」というものがあります。
タスク管理では、「コンテキスト」という概念があります。
何となく聞き慣れない音感も相まって、非常に理解しづいらい用語の一つでもあります。
しかし、コンテキストは非常に重要な概念の一つです。
この記事では、コンテキストの意味や活用方法について解説していきます。
コンテキストを上手に活用できるようになると、タスクの扱いが一段階レベルアップすることでしょう。
「コンテキスト」って何だろう?
コンテキスト(Context)は、日本語に訳すと「文脈・状況」になります。
単に訳しただけでは、まだよく分かりませんよね。
試しに辞書で「文脈」を引いてみると、以下のようになります。
【文脈】
文中での語の意味の続きぐあい。文章の中での文と文との続きぐあい。
比喩的に、筋道・背景などの意味にも使う。
タスク管理における「コンテキスト」は、意味を転じて「そのタスクが実行できる状況」を指します。
例えば、「○○さんに電話を掛ける」というタスクがあるとしましょう。
このタスクを実行するために、必要なコンテキスト(文脈・状況)は何でしょうか。
シンプルに考えれば、「電話を掛けられる状態」です。
電話は殆どの人が持ち歩いている時代ですので、そこまで「必要な文脈・状況」を意識することは少ないと思います。
では、「○○商社にFAXする」というタスクについてはどうでしょうか。
このタスクを実行するために必要なコンテキスト(文脈・状況)は、単純なものでは「FAX機の前」です。
FAX機を持ち歩いている人はまだ少ないでしょうから、このタスクを実行に移すには「FAX機の前に行く」という状況を作る必要があります。
この「タスクに必要な状況」こそがコンテキストです。
ひばちです。 今回はタスク管理用語「コンテキスト」について説明します! [afTag id=3846] コンテキストとは 「コンテキスト(Context)」は「文脈・状況」を表す言葉です。 タスク管理におい[…]
色々なコンテキスト
コンテキストは、タスクを実行するために必要な状況を意味します。
先ほどの例では、「電話」や「FAX」など、手段や道具に関連付けたコンテキストでした。
これを「手段のコンテキスト」と呼ぶことにします。
しかし、「電話」というタスクを考えた時には、「相手が電話に出られる時間帯」や「実際に電話を掛けられる時間帯」という視点でも状況を考えることができます。
あるいは、早朝よりは、「昼間」や「夜間」に電話を掛けた方が良い場合もあるでしょう。
これが、「時間帯のコンテキスト」です、
一方で、電話やFAXという道具ではなく、自宅や事務所といった場所に焦点を当てて、タスクの実行できる状況を考えることもできます。
郵便物や提出物、買い物などは、特定の場所でなければ行うことができません。
これが、「場所のコンテキスト」です。
「手段」「時間帯」「場所」と、コンテキストは色々な視点で考えることができます。
言い換えるなら、「1つのタスクに1つのコンテキストが、一意的に決まる訳ではない」ということです。
その人の判断で、その人の立場に合わせて、色々な角度から付けられる情報が、タスクの「コンテキスト」なのです。
コンテキストを活用すると何が便利なの?
「コンテキスト」すなわち「実行できる状況」という情報を、タスクに付けておくとどんな便利なことがあるのでしょう。
例えば「電話を掛けられる時」という状況で実行したいタスクが複数あった時には、できればその状況になった時に、一気に片付けたいはずです。
コンテキストという考え方を活用すると、「タスク」つまりやろうとしていることを、状況別にまとめて処理することができるようになります。
また例えば、「◯◯さんに電話を掛ける」「××さんに電話を掛ける」「◻︎◻︎さんに電話を掛ける」という3つのタスクがあったときに、それらを「コンテキスト:電話」としてまとめることができれば、「電話が必要なタスク」としてひとまとめに処理することができる訳です。
この「状況別にタスクをまとめて処理できること」がコンテキストを活用する大きな利点です。
また、その状況になった時には、その状況に分類されたタスクだけを見れば良いため、集中しやすい環境を作れるという利点もあります。
実際にツールを使って運用してみよう
多くのタスク管理ツールでは、「コンテキスト」を再現するための機能が備えられています。
タスクにラベルやタグのような形で、それぞれに情報を付加できるツールもあれば、単にカテゴリーとしてまとめられる機能を活用することもできます。
多くのツール上では、類別した(付加した)コンテキストによって、フィルタリング(絞り込み)ができます。
複数のタスクやプロジェクトを、コンテキストという状況別に横断的に串刺しにするイメージです。
コンテキスト活用の注意点
ここまで、コンテキストとは何か、コンテキスト活用の利点についてお伝えしてきました。
ただ、冒頭でも触れたように、コンテキストの活用はシンプルなようで、初めは上手くいかないことが殆どなのです。
理由はいくつかあります。
一つに、コンテキストは一意的に決まらないということ。
手段や時間帯、場所など様々な視点で付けられる情報であるため、かえってまとまりがなくなる傾向にあります。
MECE(漏れなくダブりなく)を目指せば目指すほど、分類が難しくなるのがコンテキストなのです。
また、複雑にし過ぎるのも厳禁です。
付けようと思えばいくらでも付けられる情報がコンテキストなので「@机」「@電話」「@会社」など付けすぎると、運用上意味をなさなくなってしまいます。
概念は理解できるけど、運用しようとすると難しい。
これがコンテキストなのです。
上手な活用法と、最も有名なコンテキスト
ここまで、タスク管理の用語の一つ「コンテキスト」について解説をしてきました。
コンテキストの活用は、利便性が高い部分と運用が難しい部分があるという話もしてきました。
実は、このコンテキストという考え方は、普段私たちが自然と活用している考え方でもあります。
最たる例が「買い物リスト」です。
買い物というコンテキスト(実行できる状況)に、「○○を買う」というタスクを集めて、買い物に行った際に一気にリストの中の物を買う。
これがまさしく、上手なコンテキストの運用なのです。
コンテキストの扱い方は、非常に分かりづらい部分があります。
しかし、私たちは自然と運用している考え方でもあります。
上で述べた「買い物リスト」の運用が、コンテキストの上手な扱い方の大きなヒントになっています。
次回は、このコンテキストを自由自在に上手に活用して、タスクをスムーズに進めるためのコツを紹介したいと思います。
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