タスク整理のコツは「オープン」と「クローズ」の行ったり来たり【ゼロから始めるタスク管理】

こんにちは!ひばちです。

タスクを管理しようとする時、時には膨大な量のタスクを扱うことになります。

それらのタスクを、システムの中で上手に扱うにはどうすれば良いのでしょうか?

 

今回は「仕組みの中で、タスクをどう整理していくか」という点について、色々な観点から解説していきます。

 

タスク管理の二つの側面

私たちがタスクを扱おうとするとき、そこには二つの側面があります。

 

一つは、「抱えているタスクを把握したい」「全体の進行状況を把握したい」といった、俯瞰の側面です。

もう一つは、「目の前のことに集中したい」「やるべきことを確実に実行したい」といった、集中の側面です。

 

このことは「『全体を眺めたい』VS『今やることだけを見たい』問題」とも呼ばれます。

タスク管理という言葉には次の2つの側面があります。

1つは「忘れないために管理する」という側面です。この段階において、タスク管理を行うツールに求められる要件は「やることがすべて書き出され俯瞰できる」ことです。(中略)

もう1つは「実行と完了を管理する」という側面です。(中略) いざ実行する段に至っては、すべてのタスクが見えている状態は、今やるべきタスクが埋もれてしまうため、逆に効率が悪くなってしまいます。タスクを実行するときには、(中略)「今やるべきこと」だけにフォーカスできる環境を作る必要があるのです[1]

 

この二つの側面は、互いに対立しています。

  • やることがすべて書き出され、俯瞰できる状態
  • やるべきことが明確になり、集中できる状態

 

この二つの状態は、同時に存在することができないのです。

二律背反した二つの目的を達成するには、二つの側面を行ったり来たりする必要があります。

 

オープンリストとクローズリスト

オープンリストクローズリストは、マニャーナの法則で登場する概念です[2]

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簡単に言えば、オープンリストは「際限なく項目の追加ができるリスト」、クローズリストは「一度線を引いたら項目の追加をしない」リストのことを指します。

 

オープンリストは「全体を把握するために必要なリスト」として扱われる場合が多く、確実に仕事を実行していくには向きません。

つまり、上述した俯瞰と集中でいえば「俯瞰に適したリスト」ということになります。

 

対して、クローズリストは「確実に漏れなく、項目をチェックする(実行する)リスト」として扱われます。

そのため、確実にタスクを実行していく「集中に適したリスト」ということになります。

 

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GTD®とタスクシュート

リストを活用した整理術としては、GTD®が有名です。

GTDでは「気になることを全て書き出すこと」と「それを信頼できるシステムに預けること」を重要視しています[3]

「抱えているタスク(気になること)を把握したい」という視点でスタートするため、作成されるリストはオープンリスト寄りになります。

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もう一つ、タスク管理手法として、タスクシュート式があります。

タスクシュート式は「計画した仕事が、実際に今日終わるかどうか」を重要視しています。

「抱えているタスクを確実に実行したい」という視点でスタートするため、作成されるリストはクローズリスト寄りになります。

 

GTDとタスクシュート式の視点は、リストを活用した仕事術という意味では共通していますが、やはりここでも、若干の視点の違いが見られることになります。

 

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プロジェクトとコンテキスト

タスクをツール上で実際に整理しようとする時、大きく二つの軸で整理することができます。

 

一つは、目的や目標、作業の最終状態などからブレイクダウンする「プロジェクト」の軸です。

例えば、「議事録を書く」「旅行の準備をする」「英語の試験に合格する」など望む結果や目的、役割などがあり、その下位に複数のタスクが包有されているイメージです。

 

ツール上では「フォルダ管理」の手法で整理されます[4]

プロジェクトA
  • タスクA
  • タスクB
プロジェクトB
  • タスクC
  • タスクD

 

もう一つは、実行する日時や時間帯、場所やタイミングなどから整理するコンテキストの軸です。

コンテキストとは、タスクを実行するための「状況」を意味します。

例えば、「月曜日の午前中」「コンビニに行った時」「毎朝」など、タスクを実行する日付や状況など、あくまで「実行する」ために整理された状態です。

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ツール上では「タグ管理」の手法で整理されます[4]

タスクA [コンテキストA] [コンテキストB]

タスクB [コンテキストC]

タスクC [コンテキストB] [コンテキストC]

 

プロジェクト軸は、あくまで「目的」や「目標」によって整理されます。

「ある目標や課題に対して、どういうタスクがあるか」という観点で管理されていきます。

 

一方、コンテキスト軸は、「いつやるか」によって整理されます。

「どういう目的で行うか」よりも「実際にいつ出来るか」という観点で管理されていきます。

 

実は、GTDとタスクシュート式、どちらの理論を中心に実践するにしても、プロジェクト軸とコンテキスト軸という二つの水平垂直視点をミックスした形で運用していかなければ、上手く仕組みが回らないようになっています。

 

GTDはプロジェクト軸に、タスクシュート式はコンテキスト軸に重きが置かれている印象がありますが、どちらに寄り過ぎても、仕組みは上手く回ってはいきません。

 

収束的思考と拡散的思考

アメリカの心理学者ギルフォードは、人間の思考を「拡散的思考」「収束的思考」に分類しています。

拡散的思考:
発散的思考とも訳される。創造的な問題解決の場面で一つに限らないさまざまな解決の可能性を、必ずしも論理的にではなく広げて探る思考法をいう。

収束的思考:
集中的思考とも訳される。論理的に唯一の適切な解答や解決に収束させる思考をいい、多くの知能検査項目にあるような問題の解決に必要とされる[5]

 

拡散的思考は、必ずしも答えが一つとは限らない問題に対して必要になる思考です。

タスクを扱う際には「タスクの選択肢を広げること」、つまり抱えているタスクを書き出し、全体を把握したり、必要なタスクを考えたりする際に用いられる思考と言えます。

 

収束的思考は、選択肢を一つに定めることを問われる場面で必要になる思考です。

タスクを扱う際には「タスクの選択肢を一つにすること」、つまり抱えているタスクの中から「今集中すること」「いつ実行するタスクなのか」を考える際に用いられる思考と言えます。

 

言い換えれば、拡散的思考はオープンリストにおける思考です。

一方、収束的思考はクローズリストにおける思考と捉えることができます。

 

タスクにおける全体と集中を使い分けるということは、「発散と収束を使い分けること」と同義であるということです。

 

デザイン思考

デザイン思考の文脈でも、発散的思考と収束的思考の組み合わせが話題に挙がることがあります。

発散的思考の目的は選択肢を増やすことだ。(中略)
「よいアイデアを手に入れるには、まず多くのアイデアを手に入れることだ」(中略)
選択肢が多いほど複雑さは増し、物事は難しくなる場合がある。

収束的思考は、既存の選択肢の中から判断を下す場合には実用的な方法だ。
しかし、未来を探求したり、新たな可能性を生み出したりする場合には、収束的思考ではうまくいかない。(中略)厳密な解を導き出す場合にはもっとも効率的だ[6]。

 

デザイン思考では、発散的思考と収束的思考を行き来することで、アイデアを実現させていきます。

 

発散的思考では、アイデアを書き出したり、ブレインストーミングしたり、自由な発想で選択肢を広げていきます。

収束的思考では、それらの中から、限定したり、現実的な要素を加味したり、選択肢を狭めていきます。

 

デザイン思考家のプロセスは、発散的思考と収束的思考をリズミカルに行き来するようなものだ。そして、その行き来を繰り返すほど、あいまいさは低下し、具体性が増していく[6]

 

発散的思考と収束的思考の行き来は、タスク管理で言えば、俯瞰と集中の行き来に当たります。

この繰り返しによって、タスク管理もまた仕組みを回していくことになるのです。

 

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視点の整理

ここまでの章をまとめると、以下のような表になります。

目的 俯瞰 集中
思考 発散的 収束的
行動 書き出す 限定する
整理軸 プロジェクト コンテキスト
理論 GTD タスクシュート

 

実際にタスクを運用する際には、上述したようにどちらの視点も必要です。

現実的には「俯瞰したい目的のオープンリスト」「集中したい目的のクローズリスト」という二種類のリストを持つことが基本になります。

 

実際の運用

便宜上、俯瞰を目的とする仕組みを「オープンシステム」、集中を目的とする仕組みを「クローズシステム」と呼びます。

 

オープンシステムとクローズシステムを行ったり来たりすることが、仕組みを上手く回す上では重要です。

 

このオープンシステムとクローズシステムの行ったり来たり、この接続の調整を担うのが「レビュー」ということになります。

レビューでは、主に二つのことを行い調整をしていきます。

① オープンシステムから「実行可能なタスク」をクローズシステムに移動する

例:書き出したタスクの中から、今日できるタスクを別のノートに書き出す

例:プロジェクト軸で管理したタスクに日付を付加して、日付でフィルタリングする

 

② クローズシステムから「実行不要なタスク」をオープンシステムに移動する

例:今日実行できなかったタスクについて、「いつかやる/たぶんやる」リストに移す

例:実行したタスクの結果を、プロジェクトに転記する

 

レビューを挟むことで、俯瞰と集中という二つの目的を、二つのシステムの行ったり来たりによって実現していくことになります。

 

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まとめ

タスク管理の仕組みを上手く回していくためには、「俯瞰」と「集中」という二律背反した目的をお互いに満たす必要があります。

そのためには「オープンシステムとして機能するリスト」「クローズシステムとして機能するリスト」という、二つのリストを使い分ける必要があります。

 

この二つのシステムの行き来は、一つのツール内で実現できることもあれば、ツールを複数使い分けることで実現されることもあります。

重要なことは、タスク管理には「すべてを広く把握したい」という目的と、「今必要な分だけで集中したい」という目的の二つがあり、使い分ける必要があると言うことです。

それを理解するだけで、タスクやリストの扱い方は格段に変わっていくことと思います。

 

参考・引用文献

[1] Toodledo「超」タスク管理術

[2] 仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版

[3] 全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術

[4] フォルダ・タグ管理モデルの連携によるファイル管理手法に関する提案

[5] 心理学辞典

[6] デザイン思考が世界を変える〔アップデート版〕

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