仕事に追われているとき、与えられた課題が複雑なとき、頭がごちゃごちゃしているとき、物があふれ部屋が片付いていないとき。
ストレスが掛かり、何となくモヤモヤして、前に進まない経験はないでしょうか?
これらの状況に共通するのは「全体を把握できていない」ということです。
頭の中だけで、その場その場の対応だけで、片付けようとしたり処理しようとしたりすると、どんどん全体像がぼやけ、更にごちゃごちゃになっていきます。
タスク管理の第一歩は、そんなごちゃごちゃを把握するために「書き出して可視化して集めること」です。
これは、タスクに限らず、物や思考、情報など、色々なことの整理にも活用できます。
書き出すのはどうして?
私たちは、日々色々なことを考え、思い付き、または仕事を振られています。
そんな中で、なぜ物事を「書き出す」必要があるのでしょうか?
それは、私たち人間が苦手としていることを補足するためだと考えています。
それには、以下のような人間の特性が影響しています。
- 私たちは忘れる:記憶を補足する
- 私たちは複雑な思考をしている:論理構造を補足する
- 私たちは今を生きる:軌跡を補足する
①私たちは忘れる:記憶を補足する
まず、私たちは全てを覚えておくことはできません。
メモを取ったり、考えていることを書き出すのは、忘れるためです。
忘れても良いように、必要な時に思い出すために、私たちは頭の中にあるものを書き出します。
脳はパソコンに例えると、CPUです。
入ってきたものに判断を加えて、必要に応じてアウトプットする。
そういった処理を得意としています。
決して脳は、HDD(ハードディスク)では無いのです。
入ってきたもの全てを記憶し、必要な時にすぐに取り出せる訳ではありません。
だからこそ、書き出すことで、その部分を補足する必要があるのです。
②私たちは複雑な思考をしている:論理構造を補足する
加えて、私たちは複雑な思考をしています。
考えていることがあっちこっちに飛んだり、行き詰ったり、時には混乱したりします。
書き出すのは、そんな頭の中の考えていることや論理構造を整理するためです。
あれをやって!これをやって!と、仕事を矢継ぎ早に頼まれるような状況。
そんな状況では、どんな人でもきちんとした判断は難しいはずです。
状況を整理し、シンプルな構造に置き換えて考える為に、私たちは書き出すのです。
③私たちは今を生きる:軌跡を補足する
私たちは今を生きています。
過去でも未来でもなく、現在進行形で生きています。
私たちが見ているのは、常に「今」です。
過去は過ぎ去り、また未来を正確に予測することはできません。
書き出すということは、過去の軌跡を目に見える形で蓄積させるということです。要するに「記録」です。
そうして初めて、傾向を把握しすることができます。
また、傾向を把握するということは、未来を予測するということでもあります。
書き出し、軌跡を積み上げることで、過去と未来を、現在に繋げることができるのです。
書き出すことの効用
人間の苦手さを補足するために、私たちは書き出す作業が必要になります。
整理すると、書き出すことの効用は3つです。
- 書き出すことで可視化できる
- 書き出すことでよく分からないものの姿が分かる
- 書き出すことで操作できるようになる
①書き出すことで可視化できる
「やるべきこと」や「やろうと思っていること」は、元々目には見えません。
依頼された書類やメールなど、現物はあるかも知れません。
しかし、「それに対して何をすべきか」は、各々の頭の中に浮かんでいるのみです。
私たちは、書き出すことでその「頭の中に浮かんだこと」を可視化することができます。
その可視化した「やること」が、すなわち「タスク」です。
つまり、書き出すことで初めて「やろうと思っていること」や「頼まれたもやもや」がタスクになります。
②書き出すことでよく分からないものの姿が分かる
また、書き出す際の大半は、文章で書かれます。
文章化された「思考」や「やること」は、形が与えられて明確な意味を取得します。
「上司に頼まれたあれをやらなきゃなあ」という漠然としたもやもや。
それを文章で書き出すことによって「議事録を作る」といった明確なやることに変わったりします。
書き出すということは、よく分からない物を分かる形にする、という効果があるのです。
③書き出すことで操作できるようになる
さらに、書き出すことで初めて、それを操作できるようになります。
「これは今すぐやろう」「これは明日やろう」「これは当面保留しよう」といった風に、これまで頭の中で考えていたものを、移動したり収納したりできるようになります。
これまで単に頭の中にあったものが、書き出すことで可視化され、意味を与えられることで、ようやく掴んだり動かしたりすることができるようになるのです。
書き出す方法
頭の中にある「思考」や「やること」を書き出すには、幾つかの方法があります。
- 思い付くままに書き出す
- トリガーを使って書き出す
- 記録として書き出す
①思い付くままに書き出す
思い付くままに書き出す方法は、最もシンプルな書き出しの方法です。
紙やメモ帳を用意して、そこに思い付く限りを書き出していきます。
何にもとらわれず、自由に書き出すことができますが、反面思い返すのに時間が掛かったり、初めは何を書き出して良いか分からず手が止まってしまうこともあります。
「頭の中をどさりと下す」という意味合いから「ブレインダンプ」と呼ばれることもあります。
または、GTDでは「マインドスイープ」、会議などでは「ブレインストーミング」といった名称で呼ばれることもあります。
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②トリガーを使って書き出す
トリガーを使って書き出す方法は、思い付くままに書き出す方法の応用編です。
紙やメモ帳に自由に書き出すことは共通ですが、棚卸しがしやすいように、キーワードや質問などの思い出すきっかけをリストにして、見ながら書き出していきます。
この思い出すキッカケのリストを「トリガーリスト」と呼びます。
例えば、「今進行しているプロジェクトは?」「心残りだと思うものは?」「本当にやりたいことは?」というような項目をリストにしておきます。
こうすることで、書き出す負担が減らすことができます。
ひばちです。 今回はタスク管理用語「トリガー」について説明します! [afTag id=3846] トリガーとは 「トリガー(Trigger)」とは、「引き金」のことで、タスク管理では「(タスクなどを)思い出すき[…]
③記録として書き出す
記録として書き出す方法は、前項とは少し様相が異なる方法です。
タスクであれば、「これからやること」ではなく、「実際にやったこと」「今やっていること」を書き出していきます。
実際、私たちの取り巻く「やること」は、単発で終わるものは殆どありません。
大抵は「続きがある」か「繰り返されるか」です。
「やったこと」を書き出していくということは、実は次の「やること」を思い起こさせたり、トリガーになります。
結果として、「やったこと」を書き出すということは、今後「やること」を書き出すことに等しいのです。
また、その場で思い付いた未来の「やること」であっても、「思い付いたこと」という捉え方をすれば、それも記録として書き出されることになります。
記録は事実をベースとしているので、自由に書き出していく方法と比べ、脱線することが少ない利点があります。
書き出す頻度
「書き出す」と一言でいっても、その書き出し方や頻度には個人差があります。
書き出す頻度については、大きく3種類あります。
- 一気に書き出す
- その都度書き出す
- 定期的に書きだす
①一気に書き出す
一気に書き出す方法は、多めに時間を取って、じっくりと書き出していく方法です。
まとまった時間が必要にはなりますが、その分、思考やタスクの大掃除をすることができます。
タスク管理を初めて実行する際には、この方法が主となります。
そのため、意外な大変さに辟易して挫折に繋がる可能性もあります。
②その都度書き出す
その都度書き出す方法は、思い付いた瞬間に書き出す方法です。
メモを活用している方は、このタイプが多いかも知れません。
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利点としては、習慣化されてしまえば、漏れなく頭の中を外に出すことができる点です。
ただし、書き出しやすい環境作りと、意識を常に持っておくという習慣化が課題となります。
③定期的に書き出す
定期的に書き出す方法は、前述の「一気に書き出す」「その都度書き出す」の折衷案に当たります。
朝の数十分や、週に1回、月に1回など、頻度を決めて書き出す時間を取る方法です。
その都度よりも頻繁でなく、かといって大掃除になる前に整理する時間を取る、といったイメージが近いかも知れません。
私たちの生活上の暦に合わせて「日次(Daily)」「週次(Weekly)」「月次(Monthly)」といった節目に時間を取ると、習慣になりやすいとされています。
定期的に書きだす時間を取ることを、総称して「レビュー」と呼ぶこともあります。
こんにちは!タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」の開発を担当しているさがっとです。 タスクペディアは「頭の中のタスクを全て書き出す」「書き出したタスクを分解する」という操作が基本になります。 (基本操作[…]
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タスクを書き出してスッキリしよう!
書き出すことの意味や目的は理解できたでしょうか?
タスク管理の出発点は、頭の中にあるもやもやを書き出して、可視化することです。
単に「書き出す」と言っても、その意味や目的、そして頻度や方法など、幾つか押さえておきたい要素があるのです。
それらをバッチリ抑えることで、日々の書き出しがスムーズになるはずです。
次回は、実践編として、書き出すための環境作りについて解説したいと思います。
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